相武電鉄資料館

相模川水系発電追録

道志川(三ヶ木)発電所

図表:道志川発電所施設地 【所在地】
 発電所 : 相模原市緑区三ヶ木字道志川
 取水口 : 相模原市緑区三ヶ木字上川原
 放水口 : 相模原市緑区三ヶ木字道志川

【開設時期/閉鎖時期】
 明治44年 / 不明

【所属】
 中野工業部〔開設〕
    ⇒ 相甲電気 ⇒ 富士水電 ⇒ 東京電燈

【昭和3年次 概要】
取水河川 水量 落差 発電量 常用・予備
道志川 30個
(0.83立方m/秒)
47.0尺
(14.24m)
75Kw 予備



横浜水道拡張工事の立役者

 この発電所は元々、横浜水道の第二期拡張工事の際に工事用の電力を供給するために設置されました。
 第二期拡張工事のうち、青山沈殿池からを結ぶ城山隧道(全長4358.5m)の掘削はかなりの難工事だったそうです。この城山隧道工事では、送気器や排水ポンプ、コンクリートミキサーなど数々の機械が用いられ、坑内の移動には電気自動車も使われたようですが、この道志川発電所の電力が動力源となったと言われています。
 隧道完成後は、相甲電気へ譲り渡されて民需用として使用されました。


道志川発電所の様子

写真:取水堰跡と思われる石垣 【取水堰】

 取水堰は青山川との合流点の下流にありました。
 堰跡のような石垣が河原に残ります。


【上部水槽】

 発電所設備のうち、上部水槽跡が道志川公園内に残されています。

写真:上部水槽跡

 写真の左にある大口径の穴には発電所稼動当時、水圧鉄管が接続され崖下の発電所建屋へと水を送っていました。また、写真中央部下に小さな穴が見えますが、こちらは恐らく余水路へ水を流すものだったのでしょう。
 水圧鉄管が接続された穴の手前には用水を流れを制御していた思われる水門の跡も見受けれられます。

【発電所】

原動機
  昭和10年
種類 フランシス
一台あたりの
出力
120kw
常用(総出力) 1個(120kw)
予備(総出力)
製造会社 電業社

発電機
  昭和10年
種類 三相
一台あたりの
容量
125KvA
電圧/周波数 2,200V/50Hz
回転数 600回/分
常用(総容量) 1個(75KvA)
予備(総容量)
製造会社 芝浦


〔 参考文献 〕
  • 神奈川県 編 (1927) 『吾等の神奈川県』
  • 逓信省電気局 編 (1927)『電気事業要覧. 第10回』
  • 津久井郡役所 (1912-1921) 『土木回議』
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