相武電鉄資料館

相模川水系発電追録

秋山川第二(秋山川)発電所

図表:秋山川第二発電所施設地図 【所在地】
 発電所 : 相模原市緑区牧野字吉原(吉野下)
  1947年:牧野村5820
 取水口 : 相模原市緑区牧野字野毛石
 放水口 : 相模原市緑区牧野字吉原(吉野下)

【開設時期/閉鎖時期】
 大正12年 8月 / 昭和47年11月

【所属】
 富士水電〔開設〕
  ※ 秋山川水力電気が計画後に相模電力と統合、完成前に富士水電が買収
    ⇒ 東京電燈 ⇒ 関東配電 ⇒ 東京電力

【昭和3年次 概要】
取水河川 水量 落差 発電量 常用・予備
秋山川 40個
(1.11立方m/秒)
185.7尺
(56.27m)
462Kw 常用

【昭和40年代 概要】
取水河川 水量 落差 発電量
秋山川 1.11立方m/秒 56.27m 612Kw
  通常運転時 : 水量 0.56立方m/秒 発電量 309Kw



発電所設備の詳細

 秋山川第二発電所は堰提による取水、自然流下方式で全体的な構造は次のようになっていました。
写真:牧野取水堰堤
【堰提】

水門 整水門・土砂排門
沈殿池排水門・隧道口整水門

 秋山川第二発電所の取水口は梁瀬橋の上流にありました。
 現在、この場所には牧野取水堰提がありますが、この取水堰は秋山川第二発電所の取水設備を再整備したものだということです。


【水路】

牧野より小津久を経て吉野下までの隧道を設置し送水。

隧道構造
全長 2,210m
高さ 1.5m
1.3m
勾配 1,000分の1


【上部水槽】

水槽構造
水門 水圧管制門・排砂門


【水圧鉄管】

直径 90cm
長さ 84m
落差 56.27m


【発電所】

建屋
上屋 木造平屋一部二階建
亜鉛鉄板葺

原動機
  昭和10年 昭和47年
水車形式 横軸 横軸単輪単流渦巻型
水車種類 フランシス形 フランシス形
一台あたりの
出力
671Kw 670Kw(900馬力)
常用(総出力) 1個(671Kw) 1個(670Kw)
予備(総出力)
流量   1.75m3/s
回転数   750回/分
製造 電業社(株) 電業社(株)

発電機
  昭和10年 昭和47年
発電形式   横軸回転界磁交流三相周期発電機
種類 三相 三相
出力 737kvA 750kvA
常用(総容量) 1個(737KvA)  
回転数 750回/分 750回/分
電圧/周波数 3,500V/50Hz 6,600V/50Hz
電流   66A
製造 東京芝浦電気(株) 東京芝浦電気(株)



末期の秋山川発電所の役割

 閉鎖前の秋山川発電所は、中津川発電所との並列運転により津久井郡内へ電力を供給していたそうです。これは中津川発電所の単独では電圧低下があるための措置といわれています。
 また、余剰分は京浜方面へと送電されていました。

〔 参考文献 〕
  • 藤野町 編 (1995) 『藤野町史 通史編』
  • 藤野町 編 (1994) 『藤野町史 資料編 下 近現代』
  • 神奈川県 編 (1927) 『吾等の神奈川県』
  • 逓信省電気局 編 (1927)『電気事業要覧. 第26回 昭和10年3月』
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