停車場配線の設計
複線分岐駅
１．複線から単線に分岐する場合
複線区間は列車の運行回数が多いのが普通ですので、平面交差がないのが理想的です。
しかも、営業上からは同じホームで同方向列車を扱うのがよいですので、その配線は下図の形をとるのが一番良いでしょう。
この形にするには工費が高くなるということであれば、下図のように複線の幹線のほうを線路の模様替えを少なくする方法もありますが、甲方向行が別々のホームより発車する欠点は残ってしまいます。
また、分岐器の一組は遠方制御の形になってしまい、あまり好ましい状態とはいえません。
分岐駅における乗降客の少ない場合に限りこの形式を採っても良いといえます。
平面交差を許す場合は、線路別配線にすると下図のようになります。
また、方向別の配線では下図のようになります。
これらの優劣は、各方面への列車運行回数や乗降客・乗り換え客の数などによって変わるので一概には言えませんが、旅客扱い上からは当然、方向別配線が好ましいと言えます。
なお、線路別配線の場合、下図のような形であれば工費軽減になる場合が多いです。
２．複線を分岐する場合
本線と支線がいずれも複線の場合、支線を立体交差させ、しかも旅客扱い上便利な方向別配線の形式は２つあります。
支線を内部にとる場合は下図のようになります。
また、支線を外側にとる場合は下図のようになります。
平坦地では通常、支線が本線をのりこす形になるので、１線分を高築堤になる前図のほうが一般的に工費が安くすみ、しかも構内模様替えが少なくなる場合が多いので、この形式が最もよく使われます。
地形によっては前々図のほうが良い場合もあります。
複線から複線を分岐する場合は、各方面とも列車の運行回数が多いから、高度の保安装置を設置しない限りは平面交差は危険です。
また、平面交差によって列車運行回数を制限させる結果ともなるため、平面交差はやむをえない場合のみ使うものと考えます。
平面交差の一例として次のようなものがあげられます。
一般に駅構内本線の数を増やすと、ある程度の平面交差は避けられなくなってきます。
そこで参考のために平面交差に関する設計の要点を示すと、
- 平面交差の数を最少とすること。
- 列車の進入ルートと進出ルートとの平面交差は運転保安上最も危険であるから、これを避けること。
- 列車の進入ルートと進入ルートの平面交差の危険度は中ぐらいのため、なるだけ少なくすること。
- 進出ルート同士の平面交差が最も安全なため、平面交差をするならこの形が最も良い
〔 参考文献 〕
- 中央鉄道学園三島分教所 （1965） 『停車場配線』（学園教材 工35）