相武電鉄資料館

御料林と宮標石

宮標石について

 御料局が設置した標石は、明治27年(1894年)に制定された「御料地測量規定」に基づくものが始まりとなります。

御料地測量規定(抜粋)
明治27年(1894年)5月27日制定(御料局127号)

第二章 三角測量

第十六條 三角點ノ標識ハ石標ヲ用ユベシ
 但時宜ニヨリ木標又ハ固着岩石ヲ用ユルモ妨ゲナシ
 前項三角點ノ標識ハ左ノ方法ニ依リ設置スヘシ
一 石標ハ凡五寸乃至六寸角長二尺五寸許ノ石材又ハ之ニ適應シタル 天然石ヲ用ヒ第一圖式(イ)ノ如ク上部凡五分ノ一ヲ四寸乃至五寸角ニ 削リ正シ上部ノ四端ヲ隅切リ上面ヘ十字形面前ヘ御料局三角點ノ六字 背面ニ名稱或ハ記號ヲ刻シ五分ノ四ヲ地下ヘ埋ムベシ
又主要ノ測點ニアリテハ尚地中標ヲ設クルアルベシ此場合ニ在リテハ第一圖式(ロ)ノ 如ク凡方一尺二寸厚五寸ノ石材ヲ上面滑カ削リ十字形ヲ刻スベシ

二 (省略)

三 固着岩石ハ第一圖式(ハ)ノ如ク上面方五寸ヲ平滑二削リ十字形ヲ刻スヘシ 此場合ニアリテハ測點ノ周圍適宜ノ位置ヲ撰ミ指導標(石標若クハ木標)ヲ建設シ其測點ニ對スル方面ヘ 點距離其他ノ面ヘ局面、名稱ヲ刻ミ記スル前項仝シ


(中略)

第二十七條 測點ノ標識ハ主要ノ場所ニ限リ石標若クハ木標ヲ用ヒ
 其他時宜ニヨリ適宜點杭ヲ設クルアルベシ
一 石標ハ第十七條ノ圖式ニ準シ上部凡五寸乃至三寸隅切角ニ造リタル長二尺五寸以上ノ石材若クハ仝長ノ自然石ヲ用ヒ上面ヘ十字形前面ヘ御料局測點ノ五文字背面ヘ名或ハ記號ヲ刻シ其三分ノ二ヲ地下二埋ムヘシ又主要ノ測點ニアリテハ第十七條圖式ノ地中標ヲ埋設スルアルヘシ


 明治29年(1896年)、各府県に対して御料地の境界査定が委託されることとなり、その心得のなかで境界点の設定、境界標の形状などが定めれることとなります。

府県委託御料地境界査定心得(抜粋)
明治29年(1896年)1月31日制定(御料局28第3864の16号)

第十一條 境界ヲ査定スルニハ御料地中主要ナル位置ヲ起點トシ順次界點ヲ設ケ番號ヲ附スルモノトス但起點ヨリ右進スルト左進スルトハ査定員ノ便宜ニ任スト唯仝一御料地ニ在リテハ務メテ仝一方向ニ進ムヲ要ス

第十二條 境界線峯通谷通等ノ如キ天然ノ地形若クハ河川道路鐡道溝渠堤防崖等ニ據リ將来移動ノ虞レナキモノハ其首尾両端ニ界點ヲ設ケ中間ハ主要ノ外界點ヲ設ケサルモ妨ケナシ

第十三條 直線境界ニ在リテハ其ノ曲點毎ニ必ス界點ヲ設クヘシ

第十四條 直線境界ニ界點ヲ設クルハ務メテ其ノ距離ノ長遠ナル

第十五條 境界點ニハ必ス標識ヲ設クルモノトスソノ種類寸法形状等ハ左ノ如シ
一 石標
方三寸乃至五寸長二尺乃至三尺ノ堅硬ナル石材ヲ用ヒ六寸許ヲ削正シ上部ヲ隅切角トシ頂面ニ十字線表面ニ番號裏面ニ局名側面ニ年月ヲ彫記スヘシ


ニ 木標
(略)
三 土塚
(略)
四 固着岩石
石標ノ頂面ト等シク十字線ヲ彫記シテ界點ヲ示シ其ノ傍ラニ番號ヲ彫記スヘシ


 明治32年(1899年)に境界踏査規程が制定され、このときに宮標石の特徴である「宮」の字を刻むことが定められます。

御料地境界踏査規程(抜粋)
明治32年(1899年)12月14日制定(第6522号)

第六章 標識

第三十四條 界標ハ其ノ中心デ界點ニ一致セシメ之ヲ垂直ニ設置スルモノトス

第三十五條 界標ハ左ノ四種トス
一 石標
第一圖ノ如ク凡ソ五寸乃至六寸角長貳尺五寸許ノ堅牢ナル石材ヲ用ヒ上部凡ソ五分ノ一ヲ四寸乃至五寸角ニ削正シ上部ノ四端ヲ隅切ト上面ヘ十字形前面ヘ界何(番號ノ数字ノミヲ記ス)背面へ宮ノ文字ヲ刻シテ墨ヲ塗リ其ノ五分ノ四以上ヲ地下ニ埋ム但シ路傍其ノ他障害ヲ蒙リ易キ場所ニ在リテハ地表面ヨリ凡ソ一寸地下ニ埋設シ指標ヲ建設スベシ
二 固着岩石
第二圖ノ如ク石面方五寸以上ヲ成ヘク平滑ニ削リ又ハ石面ノ滑カナル所ニ十字形ヲ刻シ墨ヲ塗リ指標ヲ建設スヘシ
三 土管標
第三圖ノ如ク凡ソ徑三寸長貳尺ノ陶器ヲ用ヒ其ノ上縁ニ十字ノ當リヲ刻シテ地表面ト等シク埋設シ其ノ上ニ土ヲ覆ヒテ指導標ヲ建設スヘシ

第三十六條 界標ノ附属標ハ指導標、探求標ノ二種トシ左ノ區別ニ従ヒ番號掲記ノ部分ヲ界點ニ向ケ設置スヘシ
一 石標
長貳尺五寸許ノ堅牢ナル石材ヲ用ヒ上部凡ソ五分ノ一ヲ四五寸角ト為シ上面ニ丁字ヲ刻シ白堊又ハ墨汁ヲ塗抹スヘシ
二 固着岩石
界點ニ面スル見易キ箇所ニ丁字形ヲ刻シ白堊又ハ墨汁ヲ塗抹スヘシ


〔 参考文献 〕
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