相武電鉄資料館

東神奈川~原町田間電化概要

 横浜線の電車による旅客輸送は、昭和3年(1928年)10月1日に東神奈川駅~原町田駅(現・町田駅)の区間で開始されました。
 もともとこの区間は、電車運転習熟訓練のため、大正13年(1934年)9月に東京電気事務所直営で電化工事を実施、大正14年(1935年)4月より電動車による運転が開始されており、この設備を旅客用に転用しました。

 電化当初は2両編成で、日中50分間隔、朝夕30分間隔で24往復が運行されていました。
 当時の電気設備や施設改修の状況は次のようになります。


送電設備

電気方式
直流1,500V 架空単線式

吊架方式
シングルカテナリー方式

電車線
110平方mm溝付硬銅線

軌条面上よりの高さ
電車線: 5.2m(標準)

支持物(支柱)
クレオゾール注入杉木柱(879本)

標準柱間距離
直線区間: 45m
曲線区間: 36m・27m

き電線
325平方m硬胴撚線2条

帰線
軌条を利用し、各軌条接続点にレールボンドまたはリボンボンドをもってシングルボンディングを施すほか、325平方m硬胴撚線1条を使用

電車線延長
約28.3Km

き電線延長
約43.7Km


変電設備

変電所名
神奈川変電所

地中送電線
22,000Kv 3回線

浮動変圧器
変換状況 一次側 二次側
電圧 22,000v 11,000v

容量: 9,000Kv/A 2組
メタル・グラッド・スイッチギアー:
 22,000v用 1式

直流変成装置
回転変流器並びに変圧器:
 WE社製2,000Kw自動式 4組
直流き電装置及びき電用配電盤その他:
 WE社製自動式 6組



中間駅設備の改良

 菊名、小机、中山、長津田、原町田の各駅においては、ホーム延長を600mとした上で、高さを200mm~300mmかさ上げし舗装を行う


東神奈川駅における改良

 桜木町駅方面への直通運転が実施されることから、京浜線への渡り線の新設及び既設線の移転を行い、関連する電車線及び保安装置の移設した。
 また、東神奈川駅本屋側ホームを横浜線専用としたため、該当ホーム約60mの区間を約300mmかさ上げし舗装を行う。
 あわせて、試験線のころには隣接する東神奈川車庫と本線で一括していたき電線を本線と車庫に区分けし、東神奈川駅構内のき電線の配線を変更する。


工事費

電車線
約115,800円

き電線
約261,000円(帰線分を含む

各駅ホームかさ上げ
線路新設

約26,000円

線路新設等に伴う
電力線改良

約18,000円

線路新設等に伴う
保安装置改良

約6,120円

東神奈川駅及び桜木町駅電気連動装置改良
約20,000円


〔 参考文献 〕
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