金森にある渋池神社は昔、大きな池に囲まれていました。
相模原市大沼にある大沼神社も池があり、この二つの池は深堀川を介して結ばれていたそうです。
さて、この渋池と大沼には主となる大蛇がそれぞれ住んでいて、大沼のは雄、渋池のは雌といわれており、梅雨どきなどは二匹は互いに深堀川を泳いで渡って、双方の池を訪れては逢瀬を楽しんでいました。
深堀川沿いの村人たちは、梅雨どきの夜になるにと「今夜はきっと、大蛇様が川を渡るぞ」と家の中で川の水音に耳を澄ませていましたが、水音が高まるののが聞こえてくると手を合わせて祈ったそうです。
ある年のこと、渋池神社のそばに住む若者が今年こそは大蛇の正体を見届けてやろうと、渋池の淵の大きな杉の木に登って夜が更けるのを待っていました。
ところが太くて丈夫なはずの杉の木の枝が根元からポッキリと折れてしまい、若者を淵へと落っこちてしまいます。
村人たちは総出で若者を探しましたが、とうとう若者は見つかることはありませんでした。
「これは大蛇様の祟りに違いあるまい」と村人たちは考え、改めて神社を祀りなおし大切にしたとのことです。