相武電鉄資料館

八王子通大山道 -道すじと道標-

 八王子通大山道の田名廻りルートは小沢(久所)の渡しを渡るものと六倉(望地)の渡しを渡るものの2つがあり、小沢の渡しを渡るルートはその後、小沢坂を登ると中津台地を横切って坂本坂を下り、厚木市下川入にあった才戸の渡しへと続いていました。


小沢渡船場(小沢の渡し・久所の渡し)

写真:高田橋・小沢渡船場のあったあたり  現在の高田橋が架かる辺りに、大正13年(1924年)まで小沢渡船場(または、小沢の渡し・久所の渡し)と呼ばれる渡し舟がありました。

 新編相模国風土記稿によれば、「武州八王子路の係る所なり。船二艘を置く。高座郡田名村と組合持なり。」とあります。

 周囲には、相模川が出水した際に馬や馬力車を載せた馬舟を退避させる場所があり、 船を繋ぎ止めるための石(径60cm/長さ110cm)の石があったことから「船繋ぎ石(角田870番地)」と呼ばれ、主要道の交わる場所でもあったので「繋ぎ石の辻」とも呼ばれました。
 また、「立て場(角田823番地)」と呼ばれる休憩所もあったそうです。


旧・小沢坂

写真:旧小沢坂  
写真:旧小沢坂上の道祖神群

 現在の小沢坂の東側に細い急坂がありますが、この坂が元の小沢坂で大山道はこちらを登り降りしていました。
 坂上の現・小沢坂との合流部分には各年代の道祖神が祀られています。


大塚

 塚上の丘陵があったことからその周囲一帯に「大塚」の名がつきました。ここには小沢城の物見塚や古墳があったとも云われ、丘陵となっているところは「物見塚」「源氏山」と呼びます。
写真:大塚の大山道標
 大山道沿いには大きな自然石でできた道標があり、周辺は特に「大石」と呼ばれています。

所在地 愛川町中津1902
寸法 高さ -
-
奥行き -
形状 自然石
刻字

 道標の傍には大塚地蔵尊が道祖神とともに安置されており、旧中津村の入口にあることから道祖神として、また行路の安全を願って建てられたものと思われます。

写真:大塚地蔵尊  
写真:大山道地名標柱

半縄

写真:半縄辻の石仏群(奥に不動明王道標)
 半縄地区で中津往還の呼ばれる道と合流し南へと向かいます。
 この辻には様々な石仏と共に不動明王道標がありました。

写真:半縄の不動明王道標
所在地 愛川町中津3839
寸法 高さ -
-
奥行き -
形状 角柱
坐像 不動明王
刻字


坂本坂旧道

写真:坂本坂旧道  
写真:地名標柱・坂本坂

 現在の坂本坂は大正年間に開通したもので、それまではこの坂が使われていました。


〔 参考文献 〕
  • 愛川町文化財調査会 編 (1988) 『あいかわの地名:中津地区』 (愛川町文化財調査報告書 第14集)
  • 愛川町文化財調査会 編 (1989) 『あいかわの地名:角田地区』 (愛川町文化財調査報告書 第14集)
トップに戻る