六倉(望地)の渡しへの道すじ
小沢(久所)の渡しが開かれるまでは、下流の望地と六倉を結ぶ渡船場が主な大山道のルートとなっていました。
ここでは、田名半在家から望地の渡しがあった辺りまでを辿ります。
でいの坂
この坂沿いに「台(でえ)」という屋号の家があったことから、このような名前で呼ばれるようになりました。
南光寺前の不動尊道標
南光寺参道入口には、不動明王の坐像がある道標を兼ねた石塔があります。
現所在地 | 相模原市中央区田名5709 | |
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旧所在地 | 不明 | |
寸法 | 高さ | 93cm ※坐像含まず |
幅 | 40cm | |
奥行き | 42cm | |
形状 | 角柱 | |
坐像 | 不動明王 | |
刻字 | 正面 | 百万遍供養 |
右面 | 右 大山道 | |
左面 | 相州高座郡 左 たゑま道 |
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裏面 |
このあたりの道すじは、昭和前期まで当麻と田名を結ぶ県道の指定区間とも重複しており、この不動尊の道標はここから300mほど南に進んだ六倉(望地)の渡しと当麻方面への分かれ道あたりに置かれていたのではないかと推測されます。
ウマツクロイッパ
大山道からは外れますか、うま坂から北に200m程のあたりに「ウマツクロイッパ」と呼ばれる場所があります。
ここは相模川の渡しから荷物を運ぶ馬の手入れをしたと云われ、そのためか馬頭観音が多く安置されています。
うま坂上の道標
うま坂の坂上にも道標をみることができます。
現所在地 | 相模原市中央区田名8599 | |
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旧所在地 | 不明 | |
寸法 | 高さ | 57cm |
幅 | 14cm | |
奥行き | 12cm | |
形状 | 角柱 | |
刻字 | 正面 | ・・・政・・・年 八王子道 ・・・・・ |
右面 | 大山 右 道 ・・・山 |
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左面 | ・・・ 左 道 ・・・のや |
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裏面 |
うま坂
田名地区には、うまさか(うまざか/馬坂)と名のつく坂道が3つありますが、この望地地区と望地河原を結ぶ坂道はそのうちの一つです。
この坂の由来は、坂下で戦前まで草競馬が行われていて、それに出場する馬たちがこの坂を下ってやってきたことから名付けられました。現在では競馬がされていた跡は見当たらず、広い水田が広がっています。
途中には清水の湧き出るところがあります。この傍らにはだいぶ風化してしまい気付かずに通り過ぎてしまいそうな古い石仏が坂道を見守っていました。
六倉(望地)の渡し
小沢(久所)の渡しが大山道の主たる渡船場となる前は、この六倉(望地)の渡しがその役割を担っていました。
新編相模国風土記稿の熊坂村の項には、小沢(久所)の渡しに役割が移った後の様子が書かれており『今も渡場あれども村民耕作の便とするのみ。僅に船二隻を置き当岸高座郡田名村に通ず。八菅村との持なり。』とあります。
〔 参考文献 〕
- 相武史料刊行会 編 (1929) 『新編 相模風土記:淘綾郡 大住郡 愛甲郡 高座郡 津久井郡』
- 三栗山財産管理委員会 編 (1993) 『田名の歴史』
- 三栗山財産管理委員会 編 (-) 『田名の史跡めぐり』